下の絵は、東京の南西部、狛江市から北東端となる葛飾区にかけての地層分布を示した模式断面図です。この模式断面においては、東京の地形と地質は大まかに、次のようです。



 多摩丘陵には、新生代新第三紀〜第四紀の上総層群が基盤として分布します。この丘陵地では主に土丹と呼ばれる泥岩と締まった砂層から構成されます。この基盤の上部には関東ローム層が分布します。関東ローム層は主に関東平野をとりまく富士、古富士、箱根山などの火山から運ばれた火山噴出物です。
 台地部のうち、下末吉面に相当する淀橋台には、下位より上総層群、江戸川層〜舎人層、東京礫層、東京層、凝灰質粘土層および関東ローム層が分布します。上総層群は淀橋台では主に、土丹と呼ばれる泥岩と締まった砂層から構成されます。江戸川層〜舎人層は礫、砂、粘土の互層からなります。東京礫層は上位の東京層の基底礫と考えられ、主に締まった砂礫から構成されます。東京層は砂と粘土の互層で、しばしば貝化石を含んでいます。凝灰質粘土層は、この台地では渋谷粘土層とも呼ばれています。厚さは3〜5mです。また、関東ローム層の厚さは5〜8mとなります。
 武蔵野面に相当する武蔵野段丘には、関東ローム層および凝灰質粘土層の下位に段丘面を構成する武蔵野礫層が分布します。武蔵野礫層は全体に締まった砂礫層よりなります。厚さは5〜7mです。この武蔵野礫層の下位層は、多摩川付近となる狛江市付近では上総層群を直接覆って分布していますが、これより世田谷区、千代田区、文京区、台東区にかけては江戸川層〜舎人層、東京礫層、東京層からなります。また、関東ローム層の厚さは5〜8mとなります。
 立川面に相当する立川段丘には、関東ローム層の下位に段丘面を構成する立川礫層が分布します。立川礫層の厚さは3〜5m、多摩川から野川までの狛江市付近に分布しています。この立川礫層は、関東ローム層に覆われます。立川段丘での関東ローム層の厚さはおおむね3m程です。また、立川礫層の下位には主に土丹と呼ばれる泥岩と締まった砂層から構成される上総層群が分布します。
 低地部のうち、荒川〜東京湾低地は、表層から有楽町層、七号地層、埋没段丘礫層かなり、これらの下部に東京層、東京礫層、江戸川層〜舎人層が分布します。有楽町層は上部が砂と下部が貝化石を多量に含む軟弱な粘土から構成されます。厚さは埋没谷中心部で最大40mとなります。七号地層は、主に下町低地の荒川や旧中川沿いの有楽町層基底部に分布します。砂と粘土の互層からなります。厚さは一般に20〜30mとなります。埋没段丘礫層は墨田川〜荒川の地表面下30〜40mに分布します。厚さ4〜6mの礫層から構成されます。
 多摩川低地はおもに砂礫から構成されます。砂礫の厚さは狛江付近では15mに達します。また、台地部を浸食する中小河川沿いの河谷底には、厚さ2〜4mで軟弱な泥炭層や二次堆積ローム層が分布します。